女優のブランチ | ダメ人間

女優のブランチ

 グレープフルーツが大好きなので御座います。

 グレープフルーツには、少々苦味が御座います。グレープフルーツをブランチに頂くと、ちょっぴり女優気分に浸ることが出来ます(なぜワタクシがそんな気分に浸れるのかはわかりかねるのですが)。その時に、アールグレイと胚芽のトースト(バターと蜂蜜が必須で御座います)と共に頂くと、尚一層の女優気分が味わえるのです。


 半分にカットしたグレープフルーツに果肉を崩さないよう、スプーンを慎重に差し、一房ずつ口に運ぶと、ああ!ほら!ご覧になってください!そこには何故かエレガンスな世界が広がるので御座います。グレープフルーツは昨今、決して高級品では御座いません。しかし美容に良くて美味で低カロリー、そして、従来のフルーツのようにかぶりつくのではなく、器に載せてスプーンで頂くというのが、グレープフルーツで御座います。ルビー種ではなぜか気分が盛り上がらないので(これもなぜなのかはよくわからないのでございます)母にはいつも「イエローのグレープフルーツを買って来てくださいませ!」とお願いしております。


 そして先ほど一仕事終えてキッチンに入ったワタクシに、リビングで寛いでいた父が「おい、グレープフルーツ半分食べたぞー」と声をかけられました。家族の中でグレープフルーツを頻繁に頂くのはワタクシだけなので、父はきっと優しい気持ちでワタクシに声をかけてくれたのだろうと、ほんの少し心が温まる思いでした。ええ。父はこの家族の家長なわけですから、もちろん異存はございません。もしなくなったとしても、また買いに行けば済むことですし、なんら問題はないので御座います。そうそう。先日冗談半分で「ムカツク!」と口にして、この齢にして父から小一時間お説教を食らったことが昨日のように思い出されます。もちろん正座で御座います。彼はこの家の法律であり、彼が白といえば、黒いものでも白なので御座います。 


 (明日の朝は残った半分のグレープフルーツをいただきましょう)と考えながら、冷やしておいたアールグレイを取り出そうと冷蔵庫を空けた瞬間、それは目に飛び込んでまいりました。


 ああ!ワタクシの!!ワタクシのグレープフルーツが…!!!!なんと無残な姿に成り果ててしまったのでしょう!!


 その惨状にワタクシは思わず目を瞑り、次の瞬間小さく舌打ちをいたしました。ヒヤリとしてリビングを盗み見ましたが、それは父には聞こえていなかった様子で、ほっと胸を撫で下ろしたので御座います。そうして、今アールグレイをグラスに注ぎ、作曲の為、自室にもどって参りまいりました。しかしこうしてパソコンを立ち上げておりましても、どうにもこのままでは気が収まりません。いつの時代でもどこの世界でも、ささやかな懺悔や吐露の場は御座いました。そうして民衆は穏やかな日々を取り戻せるのです。そこでリソースの無駄遣いと存じ上げつつも、この場をお借りして一言申し上げたいと存じます。

 いいかー!

 よくきけー!

 グレープフルーツをなー!!!!

 縦にカットするなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!




 すっきりいたしました。

 ワタクシに穏やかな日常を授けてくれたインターネットに感謝いたします。

 それでは皆様ごきげんよう。良い休日を。